『スポットライト 世紀のスクープ』

 

「スポットライト 世紀のスクープ」

 

 

 

題材やストーリーの質の高さが評価され、今年の第88回アカデミー賞作品賞・脚本賞に輝いた話題作は、米国でカトリック教会の暗部に切り込んだ新聞記者達の実話を基にした社会はドラマだ。「扉をたたく人」のトム・マッカーシー監督がジュシュ・マッカーシーと共に脚本も担当した。見事なチームプレーにより真実を追求する記者の姿に心が躍る。

ローカル紙「ボストン・グローブ」の特集コーナー「スポットライト」。地元のネタを、5人ほどの記者が何ヶ月もかけて独自で調査、報道している。新上司のマーティ(リーヴ・シュレイバー)は、ある神父が30年間におよそ80人の児童に性的虐待を加えているという疑惑調査を命じる。チームは真相を追うが、これが、とても地道な作業。彼らは、毎日出かけ、取材対象の相手が心を開いてくれるまでじっと待ち、罵声を浴びせられながらも証拠を追う。近年、聞かれなくなったジャーナリスト魂という言葉を思い出す。   

 

虐待にあった人物は、当時のことを聞かれると、ほとんどが泣き崩れてしまう。幼少時代に強烈な経験をした子供は、大人になっても事実を受け入れられず、未だ絶望と共に生きてきたことがわかる。

  

虐待場面は全く描かれない。子供が出てくる場面もほとんどないと思っていたら、ラスト近く、教会で歌う子供聖歌隊の姿が数秒間、挟まれる。子供達の澄んだ歌声は、記者達がいう「魂に対する犯罪」だという言葉の重みを増幅させた。本作は「正義」を振りかざしたりはしない。「知っていたのに見ないふり」をすることは誰にだってあるだろう。しかし、それを反省し、修正する勇気を持つことの尊さも語っている。

 

 

415日から公開 2時間8分 

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神戸新聞 2016年4月15日金曜日 夕刊「銀幕かわらばん」掲載

神戸新聞より転載許可済み

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