映画「の・ようなもの の・ようなもの」

 

森田芳光監督のファンは沢山いらっしゃいます。

私もその一人でした。彼の世界観を再現するかのように新しい作品が公開されています。

神戸新聞に拙稿しました。

 

 

「の・ようなもの の・ようなもの」

 

 

 

「情けは人の為ならず」これは人に親切にすれば、相手のためになるだけでなく、やがてはよい報いとなって自分にもどってくる、という意味だが、文化庁の平成22年度国語に関する世論調査では、親切にするのはその人のためにならないと言うことだと勘違いしている人がかなりいるそうだ。

 

2011年に急逝した森田芳光監督は、「家族ゲーム」や「阿修羅のごとく」など様々なジャンルの映画を手がけた。デビュー作「の・ようなもの」(1981)は、彼が好む「人の情け」や「人の滑稽さ」を描いた作品であった。本作はその35年後の物語として、これまで森田組に関わったスタッフ、キャストが集まり製作された。

 

東京の下町。落語家一門の出船亭に入門した()(でん)(松山ケンイチ)は、師匠の()(こめ)(尾藤イサオ)から、かつて在籍していた()(とと)(伊籐克信)を探してほしいと頼まれる。一門のスポンサーでもある後援会長(三田佳子)が、彼の落語を聞きたいと言ったからだ。志ん田は、手がかりを集めようと師匠の娘である夕美(北川景子)と奔走する…。

 

 

 

()(でん)の生真面目さ、()(とと)のその日暮らしの気ままさ、夕美の破天荒さなどを、日常のしぐさやしゃべり方、癖などで表現し、人間の可笑しみや滑稽さを描写する。森田監督おなじみのスタイルを、35年前の前作とそっくりの冒頭シーンを含めて、森田組で助監督を務めていた杉山泰一監督がしっかりと受け継いだ。前作にも同役で出演した尾藤イサオや伊藤克信の体つきの変化や顔のしわの深さが35年の月日を如実に語るのも面白い。ラストの人情味溢れる場面は「情けは人の為ならず」の意味がよくわかる。

 

 

 

2016116日公開

 

1時間35

 

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神戸新聞1月22日(金)夕刊 銀幕かわらばん掲載

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