映画『人生スイッチ』

「人生スイッチ」

 

人が怒り心頭に発し感情が抑えられなくなった時にとった行動は、どうなっていくのか。復讐、裏切り、不満、苛立ちなどから派生する「怒り」がテーマの6つのエピソードによるオムニバス形式のブラックコメディーである。

最初の物語のタイトルは「おかえし」。ある飛行機に乗り合わせた、モデル、教師、音楽評論家、心理カウンセラーたちの共通点は、ある一人の男と知り合いということだ。しかも皆、その男にひどい仕打ちをした過去を持つ。すると突然、客室乗務員が、その男が操縦室に入ったと叫ぶ。と、同時に飛行機が失速を始める…。ミステリー、スリラー、コメディの要素が絶妙なさじ加減で絡み合う。

三つ目の「エンスト」は高級車を運転するダンディな男性が、前方を走るノロノロ走るポンコツ車に苛立ち、「田舎もの!」と罵ったことから始まる恐怖の物語。

スティーブン・スピルバーグの「激突」を思い出させる。

スペインの巨匠ペドロ・アルモドバル監督の製作。アルゼンチンのダミアン・ジフロン監督の鮮やかな色使いは、アルモドバルを思わせる。今年の米アカデミー賞外国語映画賞にもノミネートされた。

怒りが爆発するきっかけはほんの些細なことだ。転がり始めた人生はあっという間にどん底まで落ちて被害者になるのだが、元は加害者の側面がある人物もいる。「因果応報」だと気づいた時点で笑えなくなる。平凡に暮らす人たちが主役だけに、自分もふとしたきっかけでそうなるかもしれないと思わされ、背筋がヒヤリとした。

 

725日公開 

2時間2


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神戸新聞2015年7月24日 夕刊「びびっとシネマ」掲載

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